弁護士インタビュー

自分の心動かすものを。海を越えるスポーツの発展に多方面の知見・経験で貢献。

加藤 志郎

パートナー/64期
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Q1

どんな仕事をされているのですか。

国内外のスポーツ選手、チームなどのスポーツ団体、エージェンシー、スポンサー企業といったスポーツに関わる依頼者のための契約交渉、アドバイスその他のサポートをしています。

例えば、海外で活躍する日本人選手や日本に来る海外選手・コーチなどの契約や身の回りの法務に関するアドバイス、選手・スポーツ団体と企業とのスポンサーシップ契約の交渉、スポーツイベントの開催のための権利関係に関するアドバイスなどをよく行っています。そのほかにも、スポーツに関わる紛争における依頼者の代理、スポーツ関連の不祥事の調査などもありますし、とにかくスポーツ業界に関わる依頼者が必要とすることは幅広くサポートしていますので、内容は多種多様です。

スポーツ以外では、ファイナンス、ジョイントベンチャー取引、不動産取引などに多く携わるほか、企業法務一般を取り扱っています。

Q2

入所した当初から、スポーツ分野の仕事を中心としていたのですか。

自分が最も感動できるもの、スポーツの発展に貢献したいという漠然とした思いは当初からありました。もっとも、せっかく大規模で業務分野の広い法律事務所に入ったので、他所ではなかなか経験できないような、様々な分野・業界の最先端の法務に関わりたい気持ちもありました。

幸い、NO&Tは、そのような欲張りな私の希望にも応えてしまう懐の深い事務所です。その結果、入所してから留学するまでの4年半は、スポーツ関連の案件にこだわらず、多様な分野・業界の案件を中心に取り組ませてもらいました。

これを通じて、洗練された契約法務を自分のものにしつつ、広範な分野・業界をカバーする土地勘が養われたと思います。また、企業活動や経済一般についての理解も深まり、業界を問わず、ビジネス的・実践的な視点から洞察する力も身に付けられました。これらがあるからこそ、今現在、スポーツについても、スタジアム内で起きることに直接関連した “on-field” の出来事だけではなく、そのビジネスモデル、資本構造、資金調達・ファイナンスなどの “off-field” を含めた総合的な視点からのアドバイスを期待して、依頼者に頼りにしていただけているのだと自負しています。これは、NO&Tのような大規模で業務分野の広い事務所での経験がなければ自分には不可能だったと思います。

加えて、各分野の専門の弁護士の方々と広く仕事をする機会が得られたことで、専門的な知識や経験はもちろん、依頼者のことを一番に考えた仕事の仕方や、タフな交渉への取り組み方など、十人十色ながらも見習うべきことばかりの仕事スタイルについて早い時期に学べたことも、自分にとって非常に大きかったと感じています。

Q3

ロサンゼルスでの2年間の留学・勤務について教えてください。

アメリカはスポーツビジネスが最も盛んな国の一つであり、その中でも、ロサンゼルスは、言うまでもなくスポーツの中心地の一つです。UCLAのLL.M.プログラムも、スポーツ法の分野が充実しており、入所して4年半の後、迷わず留学を決めました。

スポーツ法の先進国であるアメリカの最新の議論は、日本では考えたこともない興味深いものばかりでした。理論だけではなく、スポーツビジネスに関わる多くの実務家からのアドバイスも受けられ、例えば、メジャーリーガーを代理する現役バリバリのスポーツエージェントがゲストとして交渉実務を解説してくれるなど、エキサイティングなものでした。

UCLAを卒業した後は、ロサンゼルスのスポーツエージェンシーで1年間勤務する機会に恵まれました。スポーツエージェンシーの業務は一般的に極めて多彩ですが、私自身は、日本人メジャーリーガーなどのアスリートの代理その他のサポート、スポンサーシップ・マーケティングの提案・交渉、スポーツイベントの企画・運営などに主に携わらせてもらいました。

より具体的には、法務的なサポートに限らず、アスリートの身の回りのマネジメントをしたり、効果的なスポンサーシップを考案してマーケティング資料を作成し、スポンサー企業に提案して交渉したり、イベントの企画から参加選手との調整、資材の手配や会場の設営までしたりと、多角的にスポーツビジネスを支える経験をしました。もちろん、各種契約の作成・交渉なども行いましたが、そこでは、NO&Tでの企業法務の経験がストレートに活きていると感じました。

Q4

留学・海外勤務を経て、日本への帰国後の仕事に変化はありましたか。

ロサンゼルスで2年間どっぷりスポーツビジネスに浸かったことで、自分のスポーツ愛を改めて認識し、帰国後はこれまで以上にスポーツ業界の力になりたい気持ちが強くなりました。留学前のNO&Tでの広範な分野の実務経験に加えて、ほぼスポーツ留学とも言うべき留学・海外勤務での得がたい経験も経て、スポーツの国際的な発展のために自分ができることが多くあると実感できたというのもあります。

そのため、引き続きファイナンス、ジョイントベンチャー取引、不動産取引その他の企業法務一般に携わりつつも、業務の中心はスポーツに関わる案件になっています。留学・海外勤務などから派生しての受任案件のほか、NO&Tでは事務所の規模のおかげで、スポーツに関わる依頼も多くありますので、そのような依頼には、広く携わっています。

大きな法律事務所のイメージとして、事務所全体としての戦略に沿って、レールを敷かれた分野での専門化を求められるというのがあるかもしれませんが、少なくともNO&Tはまったくそんなことはありません。NO&Tではそれぞれの興味や希望に合わせた柔軟な選択ができる点が、私のように新しいレールを敷いていきたいと考えている人間にはありがたいです。これは留学の前後を問いませんし、留学・海外研修先の選択にしてもそうです。だからこそ私も、海外スポーツエージェンシーでのマーケティングその他の実務という、日本の弁護士としては極めて異例な経験ができたと思います。i-Projectをはじめ、新しいことに取り組むアソシエイトを事務所として積極的にサポートするシステムは最近さらに拡充されており、チャレンジしたい若手のための環境作りには力が入っています。

Q5

これから弁護士になる方に向けて、NO&Tでの働き方についてメッセージをお願いします。

社会や価値観の多様化に伴い、人々の働き方は変わってきており、弁護士もそうだと思います。個人的には、今後ますます、一人一人が自分の趣味や興味に根ざした生き方をしやすい社会になっていくと期待しています。そのように実社会での趣味・興味を中心において弁護士として活動する場合、必要となる知識や経験は、例えば民法だけとか、会社法だけといったように、特定の法律や法分野といった枠組みとは一致しないことが普通だと思います。例えば、スポーツビジネス全般についてアドバイスを提供する中では、民法、知的財産法、労働法などをはじめ、多種多様な法分野が関係してきます。

希望すれば幅広い分野を経験できるNO&Tは、そのように様々な法分野について横断的な知見を得たい方にとっても適した環境だと思います。もちろん、あらゆる法分野について自ら精通することは不可能ですが、その場合には、所内の詳しい他の弁護士にいつでも気軽に意見を聞ける雰囲気であることも、私自身、非常に助かっているところです。新しい時代に、弁護士資格を活かして新しいチャレンジをしていくために、成長できる環境がNO&Tにはあると思います。

プロフィール

加藤 志郎

64期 パートナー

2011年12月入所。企業法務の知見、ロサンゼルス留学と米国スポーツエージェンシーでの勤務経験などを背景に、スポーツに関わる依頼者に対して国際的・多角的に法的サービスを提供。

プロフィール詳細

学歴/職歴

  • 2008

    慶應義塾大学法学部卒業

  • 2010

    東京大学法科大学院修了

  • 2011

    長島・大野・常松法律事務所入所

  • 2017

    University of California, Los Angeles, School of Law卒業(LL.M., the Specialization in Entertainment, Media, and Intellectual Property Law)

  • 2017~2018

    B-Global Agency, Inc.(Los Angeles)勤務

  • 2023~

    長島・大野・常松法律事務所パートナー